2009年10月25日日曜日

「奥のより道」

先週の木、金曜日にイワナの種苗を仕入れに山形県へ出かけました。今回はカミさんも同行したので、宮城、山形と紅葉まっただなかの東北路を散策しながらの旅でした。今回仕入れたイワナの稚魚は約3g(約4㎝)で、成長の早い個体は来年4月には約100グラム(約20㎝)の食用サイズになります。半年で30倍増重する魚たちに、成人の腹八分健康説は当てはまりません。当養魚場の飼育水温では、稚魚期には自分の体重の6%以上のペレットを食べます。乾燥したペレット(配合飼料)で6%です。この冬に小さなイワナが釣れたら、何らかの理由で逃げ出したコイツラと思ってください。

かくなる旅からもどってみたら釣池は大変な事になっていました。釣れていない、濁っている、ターンオーバーという現象が起きているらしい。旅装を解く間もない大騒ぎの旅の結末でした。

2009年10月19日月曜日

鱒耳東風

先週釣り情報の某ウェブサイトに当方に関する情報が投稿され、その内容にきわめて不適切な部分が含まれていたことがわかりました。第三者様のご抗議によりサイトの運営会社はただちにその投稿を削除し、当方へも平身低頭な謝罪がありました。匿名であることを武器としたこの手法は非常に不快です。闇夜の辻斬りのごとく卑劣にならず白昼堂々と対峙していただきたいものです。

釣り道というものがあるとすればその王道から離脱したこれらの行為は、釣りを人間の内面的な成長の修行の場と位置づけたアイザック ウォルトンの精神に遠くおよばず、当方のお客様にこのような方がいらっしゃった事に落胆しています。当然ながら釣り人は自由に釣り場を選ぶ事ができますが、その逆は真ではないところが今の小生にとって軽微なストレスとなっています。

ひるがえって当池のマス類、上記の喧騒をよそに自由勝手。お前たちがちゃんと仕事をすればこういう問題も起きにくいのだが。それでも彼らの本能を呼び覚ますがことくの華麗なスプーンの乱舞には的確に反応し、稚拙な誘いにはいっさい反応していないところを見ていますと人間と魚の力学は意外と均衡しているようです。

2009年10月8日木曜日

紅葉

この連休にお客様に提供する大型魚を調達するためまたぞろ山形県に行ってきました。標高の高い所は紅葉がはじまっていました。今回も(財)山形県水産振興協会さんという所ですが、前回とは場所が違い「古寺孵化場」というサクラマスの放流事業を主軸にした施設です。山形自動車道の月山ICから朝日岳方面に小一時間走った所にあります。となりの旧朝日村には幻の巨大魚タキタロウ(柿太郎さんではありません)の住むという大鳥池があります。

この大江町古寺という所、民家は2件という集落、最近まで電気が来ていなかったそうで固定電話はいまだ未通です。もちろん携帯は圏外。この古寺孵化場のご担当の方の携帯電話に連絡し魚の積み込み日時等を打ち合わせしました。特別な番号表示ではなかったので長電話しました、後日その方の携帯が衛星携帯電話であることがわかりました。この連休にご来場のお客様、今回釣れる大型魚は魚代、運賃のほかに高額な通信費がかかっていることをご理解ください。

採卵の季節

今年も関東地方の各養魚場でヤマメの採卵が始まりました。やはりこの時期なのです、カレンダーを持たない彼らですが水温や日照時間を鋭敏にかぎとり確実にこの時期に性成熟してきます。ヤマメの場合採卵後の親魚たちはボロボロになって死んでいきます。子孫を残すため自らの命を投じていく感動的な営みです。何万年も変わらない彼らの不変の価値観は、世が不況になろうと政権が変わろうと揺らぐことはありません。

彼らの目は、水温が高いのに欲と道連れで営業を開始しその結果に悲観している釣場の経営者をあざ笑っているかのようでした。